コクダイパン会議スタッフのBlog

コクダイパンよ大志を抱け!
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開催地紹介!〜横浜国立大学紹介〜その3
 

吉岡さんっていつもそうだ、事前に発表されてるシフトに直前で難癖つけて自分の都合のいいように変えさせる。

勤務歴も長いし先生たちにも信頼されてるから、マネージャーも強く言えないんだろうけど。でも直接被害を受けるこっちの身になってほしい、今日は休みのはずだったのに。

何度目かの不平を心の中で呟いてから、愛は一方通行の車道を早足で横断した。ガードレールで仕切られた狭い歩道の脇に短いコンクリートの階段があり、上るとそこはもう横浜国立大学の敷地だった。中を突っ切るのが職場までの近道だとわかってから、自分には何のゆかりもないこの大学のキャンパスを通勤経路として使うようになっていた。

人影まばらな夏休み中の大学は、まるで眠っているみたいだ。

この穏やかな雰囲気は、或いはキャンパスを覆うように、また守るように茂るたくさんの木々のせいなのかもしれない。

秋分の日って何だっけ、昼と夜の長さが同じ日だっけ。

まだ昼の太陽は盛夏の名残を強く留めている。首筋がうっすら汗ばんでくるのを感じる。

そもそも祝祭日に休みを取れる日が少ないのに、しかもせっかく皆と予定が合ったのに。愛は東京で働く高校時代のバドミントン部の友人たちのことを思った。代わりに明日が休みになったけど、一人じゃ都内まで出る気にならない。

と言って横浜の街は、自分が周りから浮いているように思えて楽しくない。就職で越して来てもうすぐ半年だけど、いまいちしっくりこない。故郷から離れて暮らすっていうのはそういうものかもしれないけど。

左手に、ガラス張りのオフィスビルのような高い建物があって、丘にあるこの大学に建つあの屋上に登ったら、さぞかし遠くの景色まで見えるに違いないと思う。私に対してはよそよそしい風景が、どこまでも続く景色が。

その先で左に折れる。両側に並んでいるのは、おそらく授業に使われる建物で、この時期はいつ通ってもあまり人の気配がない。

と、そこからにぎやかに話しながら、十数人の男女の集団が列をなして出てきた。あれ、珍しく学生だろうか。にしては落ち着きがあるような。大学院生?

不意を突かれた愛は、一瞬にして集団の中に飲みこまれる。

ぶつかりそうになって足を止め俯くと、彼らは愛のすぐ横を過ぎ、そのまま隣の講義棟へ入っていった。

そしてその瞬間、なぜかそれだけはっきり聞こえた声「で、アシカワヨシフミって画家が大さん橋描いてて、それで行ってみたくて…」

愛ははっとして顔を上げた。自然、声の方を目で追っていた。

彼女の視線に呼び止められたかのように、男が振り返った。

二人の目が合う。そして彼の手の中には。

「パン?」愛は声にならない声で言う。よく見ると、彼だけではない、集団の中には同じロールパンを手にした者が何人もいた。

それに気づいた途端、愛の鼻孔にも焼きあがったパンの匂いがふわっと広がった。

前へ向き直りざま、彼が微笑んでこちらに軽く会釈をしたような気がした。集団の中の一人だと勘違いされたのかもしれない。

「おいしそうな、匂い」愛は小さくそう呟いて、また職場へと歩き出した。

翌日、愛は横浜港にある大さん橋にいた。空は海と同じほど青く深い色をしていた。海からの風が強い。それにこの街に感じていたよそよそしくて居づらい感じがしない。

理由はわからないが、それがなんだか意外でうれしかった。

鬱屈して凝り固まっていた嫌な感情が、この海に溶けてなくなっていくような気がした。もしかしたらこの街もそんなに悪くないかもしれないと、ふと思った。

昨日耳にした、アシカワヨシフミという画家の名前が忘れられず、帰宅してからインターネットで調べた。

今年36歳、現役の画家だった。

彼が描いた大さん橋の絵の画像も見た。色彩が鮮やかで風景画というよりは模様のような抽象画だった。

絵画にも大さん橋という横浜の名所も、今まで気にかけたことすらなかったのに、昨日から私は何をしているんだろう。愛は自分で自分のしていることが不思議だった。

ウッドデッキの床を進んで、突端の方まで歩いて行ってみた。

そこで愛は一人、海の方を見ている見覚えのある人影を見つけた。

彼だった。昨日と同じように目が合い、愛は思わず立ち止まる。

あの時のパンの匂いがまた風に乗って香ったようだった。

「今日は、パン持ってないんですね」

意識せずに言葉が口から出ていた。またはっとした。

私が気にかけていたのは、アシカワヨシフミという画家でもその作品でも、大さん橋でもなかったんだ。私はただこの人のことを…。ううんちょっと違う。そうじゃなくて、きっとこの人がその魅力に気付かせてくれたんだ。

「えっ、ああはい。もう、会議終ったので」

男は笑みを浮かべながらも少し戸惑ったような様子で答えた。「会議?」愛が尋ねると彼は頷く「ええ。コクダイパン」。

愛は笑って、おいしそうな名前の会議ですねと言った。

なんてこともあるかもしれない、第7回コクダイパン。

9月22、23日に横浜で開催。お待ちしています。

横浜国立大学産学連携課の久保田でした。

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第7回コクダイパン会議実行委員一同

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MAIL:info@kokudaipan.info

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=第7回コクダイパン会議まで あと 35 日!=
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